「混ぜる」科学
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「混ぜる」と一口に言っても色々な方法と表現がありますよね。ここでは、お菓子作りでよく見かける混ぜ方について、科学的な視点から解説していきます。知らないと損!逆に知っているだけで失敗を「できる限り」回避できるような知識がたくさんあります!!私の数々の実験と失敗から、みなさんは一発で成功できるお菓子作り上級者になってください♪( ´▽`)
今年の元旦、朝から2回クッキー作りに失敗し、家族から失敗動画の方が多いんじゃない?って言われました(味は良かったはず)。私自身の追憶のためにも、書いておきます_:(´ཀ`」 ∠):
【材料】化学反応しそうな食材しかない
皆さんは、お菓子作りで欠かせない食材と聞いて何を思い浮かべますか?私はクッキーばかり作っているので、真っ先にバターが思い浮かびます!
今回はその中でも、
- 卵
- 砂糖
- バター
- 粉
この4つの材料について、それぞれの性質をざっくり解説します。ゆっくり解説じゃなく、ざっくり解説( ・∇・)

卵:卵白には水分とタンパク質、卵黄には更に脂質とレシチンが含まれます。タンパク質に泡立つ性質があるため、混ぜるとふわふわにすることができます。レシチンには乳化作用と言って、油脂と水を結びつける働きがあります。
砂糖:水分を抱え込むことができ保湿できるものの、少しでも水が触れることで逆に水分が遊離し溶けます。加熱と冷却で結晶構造が変化することを利用して、焦げた風味のキャラメルを作ったりフォンダンで白濁したコーティングをすることができます。
バター:ほとんどが脂質ですが、水分がないわけではありません。多少の水分を取り込むことはできます。ハンドミキサーなどで強く混ぜ続けると、空気を含んでふわっとします。
粉:炭水化物とタンパク質が含まれます。炭水化物は水に溶け、タンパク質は水と混ぜて練るとグルテンという網目状の構造を作ります。
それぞれの性質をバランスを変えて組み合わせることで、無限レベルに美味しいお菓子が作れます٩( ‘ω’ )و逆に凄まじい失敗もしますwww
【方法】これをすると失敗する!

1位🎖️バターに向かって冷蔵庫から出したての卵を一気に投入!
必ずと言っていいほど分離します。常温に戻した卵を2-3回に分けて加えると書いてあるのに、面倒で一気に加えると、、、油脂と水分がバラバラ事件( T_T)でも焦らないで!大丈夫です!ぎゃっと思った瞬間に手を止めて、分離が進む前にその後に入れる予定の粉を1-2つかみ入れてみてください。ゆっくり混ぜてみると、分離が繋がりセーフ!卵黄のみ使うクッキーは、卵黄がもつ油脂とレシチンの効果で分離しません。分離が嫌すぎる方は、卵黄のクッキーか卵を使わないクッキーを使うことをお勧めします。
2位🎖️粉を入れてから練りまくる
クッキーはこれで石化します。スポンジは本物のスポンジになります( ・∇・)粉と水分を出会わせ混ぜるということは、グルテンをどんどん発生させて強固にすることを意味します。パンはこれを利用していますが、お菓子作りに頑丈な構造は必要ないことが多いです。頑丈さを回避するには、練ってもグルテンを形成しないような粉、コーンスターチやアーモンドパウダーなどを配合します。
3位🎖️卵白(水)に油脂混入・チョコ(脂)に水混入
油脂と水の相性の悪さと言ったら(T ^ T)、、、この二つを上手くまとめ上げる政治力。それがお菓子作り成功の秘訣です。使う器具の洗い方が雑だっただけで、メレンゲのやる気は一気に壊滅状態に。湯煎で溶かしている最中にパチンっと飛んできた水分で、チョコレートはトイレで見慣れた代物に早変わりします。メレンゲは乾いたキュッキュの綺麗なボウルで、チョコレートの湯煎はボウルよりも小さな鍋でやれば良いのです。良いのはわかってても失敗するのが人間です。気をつけたいと思います。
【道具】機械を使えば簡単なのか?

混ぜる器具は大きく分けて4種類あります。お菓子作りで手がかかるのは計量ですが、体力?労力?がかかるのは、混ぜる作業ではないでしょうか。ここでは、器具を労力順に並べます!
1位🎖️泡立て器
手動です。パワーで解決!メレンゲだって、、、やれなくはないんだ!!!バターをふんわりさせる?やってやろうじゃないか!!!汗だく。
参考レシピ:Classic Chocolate Chip Cookies
2位🎖️ハンドミキサー
機械に頼る分、労力はとても少ないです。ただ意外と面倒なのが、毎日使っているわけではない機械を出す作業( ´Д`)メレンゲを作るなら必須ではあるものの、バター撹拌のためだけに出すのか、、、迷います。出しません。パワーーー
参考レシピ:Classic Butter Cake
3位🎖️手
手が汚れるのがネックですが、やること自体は簡単です。手が温かいため、材料を冷やしておく必要があるのと、こちゃこちゃと触りすぎるとバターが溶け出すので手早さが求められます。
参考レシピ:Non-sweet Butter Bear Cookies
4位🎖️ゴムべら
室温に戻すかレンジで柔らかくしたバターを練るだけです。泡立て器より洗い物も簡単で混ぜるのも楽です。材料を加えるたびに同じゴムべらで、同じように混ぜるだけ( ´▽`)ただし、混ざりやすい材料(粉砂糖やグラニュー糖)に限られ、気泡の発生もさせられないので全てに適応できないのが残念。
参考レシピ:Banana nut Chocolate Chip Cookie Bites Sables Vanille
【表現】独特すぎる世界観
お菓子作りを始めようとして本を開くと、独特の表現が多くてわかりにくいですよね?
「ゴムべらで切るように混ぜる」「ポマード状になるまで混ぜる」「もったりするまで混ぜる」「ふんわりと混ぜる」「リボンが描けるまで混ぜる」「ボウルをひっくり返しても落ちなくなるまで混ぜる」ボウルひっくり返すって何!?って思いませんか??
これが理解できると、読解ができるようになり失敗が激減します。ただ!しかーーし!!一番多い失敗の原因は、、、怠惰です♪( ´▽`)wwwわかってたーーーーー!!!!わかってるんだけど、大きいボウル出すの面倒だなぁとか、洗い物減らしたいなぁとか、卵超冷たいけどいっか?とか。そんな怠惰という工程を取り入れることにより、見事に失敗したお菓子が完成します٩( ᐛ )و